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社寺建設の指南書

式典・その他

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海外でお寺を建てたい場合

海外でも拠点をもつ

昨今は、日本だけの布教活動にとどまらず、海外でもその拠点をもちたいという声も聞きます。海外で建物を建てるには、色々なハードルを越えなければいけません。法的な手続きはその国に応じて変わってきますし、持ち込めるお金の量も制限されますので、綿密な計画を立てて実行に移していかなければなりません。それらは、布教活動をしたいと思った国の諸事情に大きく左右されますし、どういう協力者を得ることができるかでも変わってきますのでここでは割愛します。

しかしながら、建築をしようとしたときに問題になるのが、どういう建物を建てたいかということです。現地で手に入る資材で建物ができればそれに越したことはありませんし、日本でしか手に入らないものを使わなければならないのなら日本から持っていくしかありません。それらの計画を立てるにあたってはやはり建築士に依頼するのが一番良いと思います。

一般建築を海外で建てる場合は法的な手続きさえクリアーすれば日本で建築するのと大差はないのですが、日本の伝統建築を踏襲したい場合は簡単ではありません。人材の確保と、材料の確保が問題になるからです。 日本の伝統建築であるゆえ現地の人では出来ないですし、お寺によっては日本の材料で作ってほしいという要望もあります。

木材は世界中多くの場所で手に入ります。 日本は国土の70%が森林なのに木材の供給を輸入に頼っているという不思議な国であるゆえ、外材の扱いには慣れたものです。と、言っても見慣れない木材しか手に入ら無い場合は躊躇するかもしれません。しかし、現地の人にその国での木材の使い方を聞けば、どの木材が建築に適した木材なのかもわかってくるものです。現在私が携わっているプロジェクトでも、現地の製材所へ出向き、どういう樹種が建築に適しているか、また希望の材寸が手に入りやすいか、値段はいくらなのかを調べて計画を進めていきました。

もう一つ大事なのが協力してくれる工務店、もしくは大工の存在です。 日本の伝統建築を建てるには宮大工の協力が必要になってきます。また、日本から木材を運ぶのであれば 工務店や力のある材木屋の協力も必要になってくるでしょう。 日本建築が好きな宮大工でなかなか長期に渡って海外で活動してくれる宮大工はなかなかいません。ましてや家族を持っている大工が、サラリーマンのごとく単身赴任で海外出張等、簡単にはしてくれません。
これが意外に大きな壁かもしれません。 日本で作って、現地で組み立てるのであればまだ理解してくれる人もいることでしょう。でも、それが何年にも渡ってとなるとなかなか難しい事でしょう。幸いにも私の周りにはそういう人材がいるので困ったことは無いのですが、協力してくれる職人がいるかいないかでは計画の進み方も大きく違ってくることになります。

どんな事業も計画を立て、実行する意志さえあれば必ず実現できます。そして、それを実行するための知恵をもった設計士や工務店と出会えれば心強い事でしょう。

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起雲社寺建築設計 代表

野村 健太

社寺設計において伝統的な日本の建築様式や文化に詳しく、現代のニーズにも応えた美しく機能的な設計を手がけています。社寺設計における専門的な知識や経験を活かし、計画から工事、式典まで一貫して社寺建築業界をサポートします。

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