マスタープランが固まったら?
ここでやっと、当初考えていた建築計画を当てはめてみます。
その計画が、今後の計画にどういう影響を及ぼしているのかが見えてきます。場合によってはその計画が不要になるかもしれません。耐震改修なのか新築にすべきかも見えてきます。
いずれにおいても
1. 事業計画書をたてること。
2. マスタープランをたてること。
まずはこの二つをこなしてから、あらためて目の前に控えている建築計画を見定めましょう。
問題に対して何をすべきなのか、どれを優先に進めるのか、問題を改善するためにはどれだけの費用がかかるのか。
事業計画書があれば、これらを押さえることも出来ます。そうすれば、必要に応じて檀信徒からどれだけ寄付をつのらなければならないのかも見えてきます。
この中で、自分達だけでは判らない事もたくさんあります。
その判らない事をピックアップし、そこではじめて専門家に聞けばいいのです。
建築の専門家には設計事務所や工務店に所属する設計士がよろしいかと思いますが、いずれにおいても、寺院建築を専門にされる方が適任となります。
建築しようと思い立ったときに考える事 ~問題点をピックアップする一例~
建築で困っている問題をあげる
大きな問題
- 本堂の耐震が心配
- 耐震診断をしたら危ないと言われた
- 屋根が崩れた
- 使い勝手が悪い
- 本堂が崩れそう
中くらいの問題
- 雨漏りがしている。
- 床が落ちた。
小さな問題
- 樋がつまる。
- 壁がはがれた
- ムカデ出没する
- ハクビシンが小屋裏に
今後の寺のありかたを考える。
- 兼業しなければならないのか
- 財テクしなければならないのか
- 檀家制度が崩壊して、今後お寺が3~4割消失すると言われている。
- 地域としてのお寺とは?
- お寺の活用方法
- 檀家が少ないがどうする。檀家を増やす方法はないのか?
- 浄財集めは可能なのか?
- 永代供養墓を考える必要があるのか
- お寺を継ぐ者がいない
閑話休題 ~建築業者を選ぶにあたって~
今までに、多くのお寺の設計を手掛けてきましたが、私なりに思う事があります。お寺ごとに最適な工務店があるのかなということです。最適というのは気が合うという意味です。
設計士という第三者の立場ゆえ、工事会社を選ぶときは競争見積もり(見積もり合わせ)をしたうえで工事会社を選ぶ事が多くなります。昨今は工事単価も底値で停滞しておりだいたい把握できます。競争しても驚くような差が出ることはありません。工事単価にもブラックボックスが少なく、クリアーになってきたからだと思います。
それであれば、御住職やもしくは総代と気が合う工事会社を選んだ方がむしろ良いのかなと思います。
工事会社を決めたからにはいがみ合うのではなく、良い建物をつくりあげるぞ!というのが最も大切な目的になります。気が合う工務店であればその結束力も高まります。
ただ、気が合う工務店かどうかなんてなかなかわかりません。
私は、工務店をいくつも見てきているので、なんとなくこのお寺にはこの工務店がいいのではないかな?と、漠然と思うだけなんですが、これはいけるなと思ったらだいたいうまく工事が進んでいます。